• コラム
  • 『キャスター 鈴木ともみのリカレントニュース』第3回

『キャスター 鈴木ともみのリカレントニュース』第3回

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

大谷翔平選手、いよいよ渡米 不完全な自分が1番を目指す

日本ハムからポスティングシステム(入札制度)でエンゼルスに移籍した大谷翔平選手が2月1日、ついにロサンゼルス入りしました。

大谷選手がメジャー入りを決断した際、私もその会見を取材しましたが、メジャーリーグへの挑戦について大谷選手は次のように述べていました。

『子供の頃からテレビで試合を見てきましたが、メジャーリーグに日本人選手が挑戦するのを見て、自分も行ってみたいと思ったのが少年時代でした。
高校に入って、最初に声をかけてくれたスカウトの方はメジャーリーグの方で、そこがきっかけだったと思います。
(高校からメジャーに行かず、日本球界に進んだ選択について)球団からは「決して遠回りじゃなかったと思っている」という言葉があり、僕もそう思っています。
チームを始め栗山監督には、全ての面で、一野球チームの監督を超えて、本当に感謝しています。
栗山監督でなかったらファイターズにお世話になっていなかったと思うところもありますし、これからも教えていただけるところがあると思うので、ぜひいろいろな話をしたいです』

質問者の方に体を向け、真摯に実直に答える。
会見の冒頭では風邪気味のため、「声に聞き苦しい点があるかもしれない。申し訳ない」という取材陣への配慮の言葉も忘れない一幕もありました。

プロ5年目。
23歳と言えばビジネスの世界ではまだまだ新人の時期ですが、大谷選手の堂々たる佇まいと周囲への感謝や配慮の気持ちを欠かさない人柄には、心底、感心してしまいました。

プロ5年目のこの時期にメジャー入りを決断した理由について、大谷選手は
『自分はまだまだ不完全な選手だと思ってますし、もっとやらなければならないことが多い選手だと思っています。
そういう状態で行ってみたい気持ちが大きかったです。
そこが一番強いのかなと思います。
不完全な状態でなぜと聞かれたら答えられないんですけど、自分として最初からそういう気持ちがありました。
高校を卒業した時から、そういう環境で自分を磨いたらどうなるのかと興味があったので。
自分に対する興味だと思います。
(メジャー入りには)漠然としたものしかないですけど、個人的には継続してきたもの、5年間やってきたことをさらに伸ばしていきたいですし、野球をやっている以上は1番の選手になりたいと思うのが普通。
野球に関しては何を持って1番というのは難しいところですけど、それはファンの方々やいろんな人たちが「彼が1番だ」と言ってくれることが選手にとって一番幸せなこと。
そういう選手を目指してやっていきたいです』
と、冷静な面持ちで語っていました。

さらに
『自分が決めた道に対して、そこに向かって頑張ってはいけるのかなと思います。
5年間、迷うことなく進んで来ることができたので、この5年間に自信を持っても良いのかなと思うのは事実です。
教わってきたことにはすごく自信を持っています』
と、自身の5年間の実績を総括しました。

これまでの実績に自信を持ちつつも、自身を不完全だと認識し、新たな挑戦と共に今後の野球人生を冷静に見極めようとする大谷選手への取材を通して、人生100年時代を迎える日本に必要であろう“スピリッツ”を感じることができました。

今、日本では成長戦略の一つともされる『人づくり革命』政策のなかで、『社会人の学び直し=リカレント教育』が注目され始めています。
人づくり革命は、人生100年時代を迎えるなかで、一人ひとりが長い人生におけるキャリア形成を前向きに捉え、社会人になってからも質の高い教育を受けやすくすることで、人の能力を高めていく取組みです。
言ってみれば、実績を積んだ上で新たな挑戦として学び直しの機会を経て、新たなステージを迎えよう!というもの。
そのためには、自分自身を冷静に総括し、前向きなチャレンジ精神と共に今後の人生をみつめていく姿勢が重要になってくるのではないでしょうか。
23歳の若者の真っすぐな瞳と実直な言葉から、これからの日本人に必要な姿勢を学んだような気がします。

(取材・文 鈴木ともみ)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る
鈴木ともみプロフィール

経済キャスター/ファィナンシャル・プランナー/日本記者クラブ会員記者。

中央大学経済学部国際経済学科卒業後、ラジオNIKKEIに入社し、経済番組の記者・ディレクター(日本民間放送連盟賞受賞番組)、キャスターを務める。
その後、経済キャスターとして独立。
各国大統領を始めとする国内外の政治家、VIP、企業経営者、エコノミスト、マーケット関係者、ハリウッドスターを始め映画俳優、監督などへの取材は3000人を超える。
現在、テレビ、ラジオへの出演、雑誌、ニュースサイトでの連載執筆の他、経済シンポジウムやセミナー、大学や日本FP協会認定講座にてゲストスピーカー・講師を務める。
主な著書『デフレ脳からインフレ脳へ』(集英社刊 1728円) 『これからの経済』をテーマにした講演多数。
2014年、一ツ橋綜合財団主催『文化講演会』作家(経済部門)講演者(過去には浅田次郎氏、北方謙三氏)に選出される。