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伝統芸能を守り、伝えたい。東流二弦琴の師範、佐藤智柯子さんインタビュー。

2017年5月2日 | 文:原詩織

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「二絃琴」という楽器をご存じでしょうか。
絃がたったの二本しかない、とても不思議な楽器。
そのたった二本の絃でなんと2オクターブ半の音が出るといいます。

今回は、桐の木の胴体に張った二本の絃を操り、多彩な和の音楽を奏でる藤舎蘆柯(佐藤智柯子)さんをご紹介します。

二絃琴の音色

二本しかない絃は、実は二本とも同じ音。
一本一本の絃から奏でられる音がそれぞれもう一方の絃と共鳴しあうことで、透明感がありながらも、どこか奥行きのある深い音色が生まれます。

すべて単音で演奏される音楽は、一本の音として聞く人の心に直に響いてきて、音の原点に触れているような、和の原点に触れているような、何か不思議な感覚を呼び覚まさせてくれます。

佐藤さんの活動と想い

二弦琴演奏会の様子
二絃琴演奏会の様子

東流二絃琴は、「八雲琴」を基に、明治初期に初代・藤舎蘆船によって考案されました。
東京で生まれたお琴なので東流を名乗りました。他に流派はありません。
現在は、このお琴の奏者は数人しかおりませんが、「東会」の名のもと活動しています。
佐藤さんはこの「東会」の代表者です。
2011年には浜松楽器博物館で行われたイベントで、東流二絃琴のレクチャーコンサートをするなど、江戸・明治の風流を現代に伝えるための活動もされています。

小学生の頃に通常の琴を弾いていましたが、ある時新聞で二絃琴を知り、それ以来演奏を続けていらっしゃいます。
東会で指導するようになって20年、ご自身で教えるようになってからは2年ほどが経つそうです。

「二絃琴は室内など狭い空間で演奏するのに向いています。賑やかな方ではないけれど、気持ちを落ち着かせてくれます。」
穏やかな口調で、佐藤さんはこのように話してくれました。

「それから、作法というほどではないけれど、日本の楽器に目を向けることで、日本古来の生活様式にも触れることができます。部屋に入った時のマナーなど多くはごく普通のことですが、自然と心が向きます。日本の良さに、ぜひ心を向けてほしいです。」

日本の伝統を守るといっても、佐藤さんのおっしゃることは決して堅苦しいものではないし、押しつけがましいものではありません。
ごく自然なこと、身の回りにあることに改めて目を向けてみる。
生活の中にある普通のことから、知恵や礼儀を学び、日本の良さを感じることができる。
そんな優しさ、あたたかさが、佐藤さんの教えの中にはあるように感じられました。

そんな、魅力にあふれた東流二絃琴ですが、実は跡継ぎがいないそうです。
「習ってくれる人が増えるのはとても嬉しいし、趣味としてやっていただけるのも嬉しいです。でも今一番思うのは、後を継ぐつもりで習ってくれる人がいてほしいということです。30代くらいまでの方なら問題ありません。教えられるくらいまで覚えてくれる人に来てほしいです。」

佐藤さんの考えるAgeless

佐藤さんに、Agelessという考え方について伺ってみました。
「あまり、年齢を考える必要はないけれど、その歳ならではの美しさというのがやっぱりあると思うんです。あの人歳とってるのに無理してる、無理に若作りしてる、というのではなく、自然に見えればいいと思うんです。」

若作りをしたり、あえて年齢を違うことをしたりすることも、それはそれで刺激的なことも多いでしょう。
ただ、無理のない、その歳相応の良さ。
自然体の自分でいることの良さがあると、佐藤さんの話をきいていると考えさせられます。

「Agelessというのは、歳を考えないで頑張るというのではなく、歳を考えながら頑張るということだと思います。この年だからこうでないといけないというのではないけれど、やはり、歳をとるということを踏まえて、先のことは考えないといけません。周りをみたりしても、70歳までは大丈夫だったとしても、自分の身体が10年後に今のままでいられるとは限りません。そう考えると、やはり今教えないといけないな、と思います。」

さまざまなことを経験し、自分自身を知ること。
等身大の自分を知っているからこそ、その人ならではの頑張りがあり、その人ならではの魅力があるのかもしれません。

「自然に見えて、自然に歳をとっていくという風でありたいです。」

穏やかに、それでいて芯は強く。
芸を学びながら、伝えながら、今を生きる佐藤さん。
是非後継者をみつけ、二絃琴の良さをより多くの人に伝えてもらいたいです。

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